現地レポート

【現地レポート③ / 女子 2 回戦】 完敗で見えた景色は、比治山女子中学をどう変えるか

2026年1月5日

 たとえ完敗で終わったとしても、そこで気づくことがあって、何かを変えるきっかけになるのであれば、それは結果以上の大きな収穫になるはずです。

「2025年度 第 6 回 全国U15バスケットボール選手権大会 京王Jr.ウインターカップ2025-26」の女子 2 回戦。1 回戦をシードされた比治山女子中学校 (広島) は、昨夏の「全国中学校バスケットボール大会」でベスト 4 に入った八王子市立第一中学校 (東京) と対戦し、29-74 で敗れました。

 比治山女子中学を率いる寺廻唯ヘッドコーチはゲームをこう振り返ります。

「歯が立たないというか、試合にならないとは思っていたんですけど、せっかくだったら全中ベスト 4 という結果を残している、歴史あるチームと対戦させてもらって、自分たちに足りないもの……中国地方であったり、広島県という狭い世界での常識をぶち壊したいなと思っていました。そういう意味では、負けはしましたけど、収穫のある試合になったのではないでしょうか。特に 1 年生 2 人がよくやったかなと思うので、そこは来年以降に繋げられるんじゃないかなと思います」

 比治山女子中学は 3 年生が 2 人だけの、いわゆる「下級生チーム」です。元々 3 年生の代の部員が少なかったため、新チームが始動したときから下級生を入れて、チームを作ってきました。ファンダメンタルを中心に練習し、ゲーム経験を多く積ませてきたと言います。それでも足りない、たとえばフィジカルコンタクトへの対応力は、一貫校の高校生たち――昨年12月のウインターカップに出場――の力を借りて、身につけてきました。

 だからといって、比治山女子中学はけっして勝つことを目的にしているチームではありません。

「上に U18 のカテゴリーがあるので、そこでも相手にきちんとついていける脚力を鍛えて、個々できちんと守る責任を持つことを U15 では育成しています。トラップやプレスディフェンスは準備していなくて、中学校で勝てないことはある意味でしょうがないと思っています。やはり、彼女たちにはその先があるので、まずはしっかり個々で守る。チームディフェンスに関してはきちんとヘルプローテーションで守る。それをベースにしながら、同時に「ノーベース (ライン)」なのか「ノーミドル (ライン)」なのかを相手に応じて変えています。バスケット IQ というか、対応力も高めてあげないと U18 につながらないからです」

 寺廻ヘッドコーチは「やはり上に行けば行くほど、基本的なことをきちんとできているチームが勝ち上がっています」と言い、ウインターカップで初優勝を遂げた大阪薫英女学院を例に挙げます。

「サイズがあるとか、ないとかじゃなくて、例えばきちんとペイントエリア内にアタックすることや、うちみたいな小さいチームであれば、手間ひまかけて (相手ディフェンスを) 崩して、崩して、崩して24秒間、攻め続けることも U18 に向けて目指しています。私たちはうまさよりも強さを追求しているんです」

 八王子市立第一中学戦は強さの面でも完敗でした。しかしその体験こそが比治山女子中学の選手たちの意識を変えるきっかけになるかもしれません。

「ここで八王子第一さんに完敗したことで、今までの自分たちのやり方じゃ駄目だなって本人たちが気づくかどうかが大切だし、こちらもそれに気づかせてあげられるか。何をどう変えていったらいいかっていうのを問題提起して、新チームもすぐ来週から始まるので、練習はもちろんのこと、中学生としての日常生活を含めて変わってくれば、来年以降ももう少しチャンスがあるかなとは思います」

 勝つことが目的ではないと言っても、それを目指していないわけではありません。3 年前の第 3 回ジュニアウインターカップに初出場したときも初戦で敗れていて、全国大会での一勝が遠い比治山女子中学ですが、いくつもの敗北を重ねて、それでもなおファンダメンタルを追求し続けることで「勝利」という名の扉を開けようとしています。完敗から見えた景色は比治山女子中学をどのように変えるのか。来年以降の戦いぶりが楽しみです。

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